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DVD『エラブの海』
2006年3月。本書への執筆協力をお願いするため、私は沖永良部へ行った。
そのとき、どうしても知りたかったのが、『エラブの海』のことだった。

『エラブの海』は、1960年に制作された映画で、当時18歳だった朝崎郁恵さんが挿入歌をいくつか歌ったと聞いていた。朝崎さんがこの話をしてくれたのは、いつだったろう。そのとき、どんな映画なのか、その映画を朝崎さんは見たのかを聞いても、記憶は定かではなかった。だからこそ私はその映画のことが、引っかかっていたのだと思う。

沖永良部へ行く前から、『エラブの海』のことを知りたいとメールでも伝えていたので、めぐみさん齊藤さんも調べてくれたのだが、図書館にもないし、まったくわからないということだった。

ところが昨年、『エラブの海』のDVDが発売される、という話が出てきた。これは見たい。12月9日におきえらぶ文化ホールで上映会と朝崎さんのコンサートが開かれることになったが、行くことはできなかった。

そこで、齊藤さんに「DVD買って!」と頼んで送ってもらったのが、元旦の今日、届いた。

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エラブの海(Amazonでも販売中)

屋久島、奄美大島、徳之島、沖永良部でロケを行い、世界初のシネマスコープ水中カラー撮影に成功したセミドキュメンタリーは、当時、日本の最南端だった奄美群島から、「エラブ諸島(?)」という架空の島を舞台にゆったりと進む。

48年前の魚が群れ泳ぐ美しい海、水中眼鏡だけで文字通り素潜りをする女性たち(石川県からスカウトしたプロの海女さん)のしなやかな姿、見ているだけで湿度が伝わってくるような緑濃い木々、熱に浮かされるように踊りながら闘牛場へ向かう人々、掃き清めた墓の前で琉球風の踊りを踊る女性……。この映画は、当時の島の暮らしの一部を写し撮った貴重な映像だ。

朝崎さんの歌声が、いまもあまり変わらないことには驚くが、沖永良部の人たちにとって、奄美の島唄は違和感があるのではないだろうか、などということもちょこっと気にはなる。けれど、この映画の制作者は、こう考えたのではないだろうか。「島の人には大きいけど、島を知らない人から見たらわからないこと」までは踏み込まない、それは島を知ってから気づいていけばいい、自分たちがこの映画をつくる上でいちばん大事なのは、「まず知ってもらうことだ」と。
そしてそれは、本書をつくるときにも私がさんざん言われたことだった。

映画を見ていると、「ここはどこだろう」「あ、ここは……」と随所で思う。けれど、そこを気にしすぎてしまうと、この映画が伝えたいことをちゃんと捉えられなくなる。そんなことを考えていると、この映画と『めがね』は似ているのかもしれないとも思う。どちらも、この島(島々)だからこそできた映画だということが大事なんだ。
| シマ情報 | 21:43 | comments(7) | trackbacks(1) |
コメント
sarahさん

『エラブの海』、よかったですねぇ。
ぼくもいつか観てみたいです。

「架空の島」という設定なんですね。
不思議な感じです。
| 喜山 | 2008/01/08 9:16 AM |
喜山さん

今度お会いするときにお貸ししましょうね。

> 「架空の島」という設定なんですね。

舞台は「日本の最南端、エラブ諸島の離島」という設定です。
「南の方のどこかの島」という設定は、『めがね』と同じですね。『エラブの海』は真珠養殖をしていた男性のモノローグで『めがね』より現実的かもしれませんが。

| sarah | 2008/01/08 11:43 AM |
Dear Sarah :

It's Magulis from Taiwan. Thank you so much for your blog.

I can read Japanese but can't write it very well. I
will visit あまみ おおじま in 2008 and hope to meet
everyone there.

あまみ おおじま is a buitiful place ... I think ^^
| Magulis | 2008/01/29 3:09 AM |
Magulis-san,

Thank you for your comment.
I hope your stay in あまみ おおしま would be fantastic days.

| sarah | 2008/01/29 8:32 PM |
最近朝崎さんを知ったのですが、とにかく心の奥の奥まで届いてしまって自分でも驚いています。
先日は栃木県の益子に来るというので行ってきました。
音響が悪くて、とても残念だったけれども一番前で彼女の唄を聴くことが出来感動でした。
今日ネットで調べていたら 朝崎さん「エラブの海」でも唄っていたことを知り、これまた驚きました。32年程前になってしまいましたが、私は八丈島で陶芸の修行をしていた事があります。
そのときの師匠は青木正吉といいます。亡くなって30年になります。先生は島へ渡る前映画のプロジューサーをしていました。なんと「エラブの海」は青木先生が作った映画です。
不思議なご縁を感じます。
| ふむふむ | 2009/10/08 4:32 PM |
ふむふむさん

益子の方でしょうか? 以前、益子のある陶芸家と話していたら、「新婚旅行で奄美に行った」と聞いて驚いたことがありました。

益子と奄美。
ゆったりした空気感とか、どこか、通じるのもがあるのかもしれませんね。

| sarah | 2009/10/19 10:17 PM |
映画エラブの海が復活し再デビューして5年になりました。挿入歌を唄う朝崎郁恵さんと映画上映とシマ唄コンサートを開催して、地球環境と平和をメッセージしてます。今年は、5回目ちゅらさあまみを、徳之島で開催します。エラブの海のロケ地である徳之島です。映画には、闘牛場と母間村のシーンがあります。今、映画エラブの海は地球汚染stopに、リアルに魂の琴線に触れるバイブルですね。これからも声援を。徳之島で会いましょう。
| kaaano | 2013/01/27 12:34 PM |
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エラブの海
 つい最近、「奄美の島々の楽しみ方」で、DVD『エラブの海』の話題を読んだばかり
| 与論島クオリア | 2008/01/13 5:56 PM |